シンプルで飽きの来なさそうなデザイン！洗練された削ぎ落しの美学を考える。

AFF3　mechanical Tokyo
2014年05月23日　金曜日

ソーウィンドウジャパンの谷口氏ご来店。
AFF3　オリジナルデザインの
機械式腕時計の発案です。
GPの関連会社ジャンリシャール製品　
製品文字盤のデザイン変更についての
打ち合わせでした。


実はありそうでなかなか無いのが
シンプルで洗練された大人の時計。
クォーツではなくキチンとした機械式腕時計。
デザインもメーカーが考えた架空の足し算ではなく、
この場合は潔くて大胆な引き算で削り込む、
あえてクラシカルな雰囲気で
シンプルな機械式腕時計の提案。

装着時にリューズとか日付け調整が
毎回毎回、イチイチ面倒くさいですから、
思い切って調整式のカレンダー機能を
盤面から表示窓を無くしてみました。
そして懐かしき1950年代の
クラシカルな文字盤へと纏め上げました。

心臓部はお馴染みのジラールペルゴ社製
3針ムーブメントを組み込みです。
こうして少しずつ外観文字盤デザインやら
改良を積み重ねて行き製品は生まれ変わります。

色々なメーカーも想像以上に多く、
ブランドもシリーズも数多く存在しておりますから、
最近ではゴチャゴチャしたデザインが多過ぎて、
実はバランスの良いシンプルな洗練されたデザインが
非常に少ない環境なのかも知れません。

カスタムモディファイの世界は
クルマの製品だけでなく、
プロダクトデザインの世界にも繋がります。
既存の製品にほんの少しだけの変更点を、
加えながら微妙な雰囲気を足しながら入れ替え、
そして大胆に基本骨格を
さり気なく削ぎ落して行く意匠引き算の手法。

完璧と呼ばれるような100％の
完成品なんてのはこの世に何1つ、
存在していないのですから、ある意味
自由に崩しの美学で楽しむ逆の発想なので御座います。
アラビア数字が１〜１２まで綺麗に規則正しく揃った
機械式腕時計は数少なくてとても美しいのです。

文字盤の平面世界　限られた狭い面積、
丸い空間に数字が並ぶだけの
極めてシンプルなデザイン世界は、
基本構造は気に入る雰囲気の造形美と
観た視のバランスの配置だけなのです。
でも狭く小さくシンプルな分、
平面の世界は誤魔化しが効きませんから、
配置レイアウトバランスの距離や
隙間や大きさの黄金律が少しでも崩れると、
エネルギーが発揮出来なくなる恐れも御座います。
本当に欲しい機械式腕時計は造ってしまう方が早いのかも知れません。


加古　俊文